備蓄倉庫ってなに?

「備蓄倉庫」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?

恐らく、私も含めほとんどの方が自治体や学校などにある災害時の備品、非常用食料など保管倉庫をまず想像されると思います。

倉庫イメージ

建築設計という視点で見ると、

2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東日本大震災によって防災意識の高りにより防災倉庫や蓄電池などの必要性が高まっていく中、国土交通省より「備蓄倉庫」、「蓄電池設置部分」、「貯水槽設置部分」などについては、一定の割合内で容積率算定に係る床面積にはカウントしないという建築基準法の法改正が2012年(平成24年)に公布されています。

「建築基準法施行令の一部を改正する政令について」

出典:国土交通省

新設建物での防災対策促進に加え、容積率を限度ぎりぎりまで利用している既存建物で備蓄倉庫などを増築した場合に既存不適格となってしまう事への救済策といえますね。

これまでは、自動車車庫等部分(その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のた車庫等部分」という。)が1/5を限度として容積率算定の緩和を受けていましたが、さらに下記の用途部分が追加された形となります。

一、自動車車庫等部分 1/5
二、備蓄倉庫部分 1/50
三、蓄電池設置部分 1/50
四、自家発電設備設置部分 1/100
五、貯水槽設置部分 1/100

活用イメージとしては、大規模建物での防災設備への対応なんですが、この法律は「用途制限」が特になく、基本どんな建物でも活用可能となります。つまり住宅でもOK!

公布から10年が経ち、近年、戸建て住宅でもこの緩和を活用する案件がよく見かけるようになりました。下図のような感じで収納スペースとして設けられて確認審査にパスしています。当然ですが、特に都心など敷地規模が小さい住宅で多くなっています。利用したくなる気持ちはよくわかります!

ただ法改正の主旨として「専ら防災のために設ける・・・」と記載もあり、実際に適切な使用がされるのか?モヤモヤしてくるところです。

自治体の判断も様々でしょうから利用にあたっては事前確認が必須といえるでしょう。

災害時には、水・電気・ガスなどライフラインの復旧や支援物資到着までに3日程度かかると言われているので、その間の最低限の自立物資が確保できれば、個人住宅での「備蓄倉庫」の意味も大いにあるでしょう。

ちなみに、確認完了検査時には扉などに「備蓄倉庫」と明示(名札?)してないと「コラァ!」って指摘を受けるそうですよ!

これは後で剥がすよねぇ・・・(笑

そうそう、2018年(平成30年)9月から「宅配ボックス」も1/100を限度として緩和対象になってます。

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